ベトナム市場で勝つための効果的なマーケティング手法 【2021年最新】

ベトナムで働くみなさんこんにちは。KURUMAです。
ベトナムに進出する日系企業は、これまで日本やベトナム国外向けの製品を、安いコストで生産する機能としてのビジネスが主流でしたが、ここ1〜2年でベトナム市場向けへの販売を強化する企業が急速に増えてきました。
なぜなら、中長期的な未来を見据えると確実に人口減少がすすみ経済力の落ちていく日本だけをターゲットにしていても、売り上げ規模の拡大が見込めないからです。
一方ベトナムは労働人口の平均年齢が約30歳と若く、GDPも東南アジア圏では1、2位を争う成長を遂げているため、若いベトナム人の購買力が急成長しています。
ですので、売り上げ規模を中長期的に拡大していく上で、ベトナム市場をターゲットにするのは至極理にかなっています。
ただ、僕はここ3年ベトナムの制作会社で数々のマーケティングサポートを行ってきましたが、多くの日系企業の方は現地法人立ち上げや生産管理、営業のなどの業務を主に生業とし、集客や顧客育成などマーケティングの知見を十分に持つ方が少ないと感じていました。
そこで、今回マーケティングを長年生業としてきた僕個人の目線で、ベトナム市場を開拓するための「効果的なマーケティング手法」を目的別に紹介することにしました。
これから本格的にベトナム市場へのアプローチを考えている駐在員の方などはぜひマーケティングの基礎知識として参考にしてみてください。
認知度をあげたい場合
まずは自社の製品・サービスの認知度を上げたい場合のマーケティング手法について紹介します。
認知度をあげる手法は大きくオンラインとオフラインに分かれます。
オンライン施策
ベトナムでのオンラインマーケティングは主に以下の5つの手法が使われています。
- Facebook広告
- Google広告
- Googleマイビジネス
- SNS運用
- KOL(Key Opinion Leader)プロモーション
ベトナムではFecebook利用率が非常に高く、認知度強化にとても有利ですし広告だけではなく、facebookページの活用や、Facebookグループへの投稿による認知拡大もよく行われています。
競合が多く他社と比較されやすい商品やサービスを展開している場合は、Googleの検索広告が有利です。
Google広告はメディアサイトのバナー広告(GDN)やYoutubeなど幅広い媒体に配信できるためFacebook広告とうまく組み合わせて展開するのがおすすめです。
飲食店や小売店などの実店舗型ビジネスならGoogleマイビジネスへの登録は必須でしょう。無料で簡単にはじめられうので真っ先に着手すべき手法の1つです。
また、人気のYoutuberやインフルエンサー、モデルなどに商品を紹介してもらうKOLを活用したプロモーションも非常に流行っています。
ベトナムの若者は企業が直接打ち出す広告のメッセージよりも第3者の口コミや評価の方を信用する傾向があるようです。
ベトナムでFacebook広告やGoogle広告などデジタルマーケティングに強い日系企業を紹介しておきます。
●Digital Marketing Vietnam(DMV)
また、日系企業への認知を広げたい場合は、Viet JoやPOSTE、Vetterオンライン、Sketchなどのメディアとの連携で純広告を出稿する手法があります。
ベトナムで大手の日本語Webメディアについては別記事「初めてのベトナム生活に役立つ日本語メディア5選」でもまとめているので参考にしてみてください。
KOL(Key Opinion Leader)プロモーションを検討の方は、MCVというTV番組の製作会社がおすすめです。日本人も数名在籍しており、KOLを使ったYoutubeコンテンツの作成から、SNS運用のコンサルティングまで幅広くサポートしてくれます。
●MCVのWebサイト
オフライン施策
フリーペーパーを活用する
ベッターや、スケッチ、Accessなど無料で手に入るフリーペーパーにはたくさんの広告枠があります。ただし二保護のフリーペーパーはベトナム人にはリーチできないですし、オフライン施策は細かい効果測定が難しいので、費用対効果をしっかり見極めたいならオンラインを活用したほうがよいでしょう。
一方、ベトナムに住む日本人や出張者向けで、飲食店やホテル、スパなど個人が気軽にアクションを起こせるBtoCビジネスや、ターゲットが広い不動産仲介、人材業などの広告はオフラインでも十分に効果が期待できると思います。
各メディアが展開するWebサイトにも下記のような広告掲載の問い合わせページが設けられているので興味がある方は、フォームから問い合わせてみると良いと思います。
実際に僕自身も、新しい日本食レストランや、家探しの不動産仲介はフリーペーパーで存在を知り足を運んだり、実際に問い合わせた経験があります。
僕個人の経験から考察すると、認知アップの施策はオンラインとオフラインを上手に組み合わせることが大事だと思います。
オンラインがよいとか、オフラインがよいとかは、ターゲットや商材によって異なるからです。
投資のポートフォリオを組むように、自社の商材がどちらに適しているか見極め、適切に予算配分を行うことが良いと思います。
交通広告を活用する
予算が潤沢で大規模に認知を広げたいなら、バスやタクシーの側面に広告を掲載する車両広告という手段もあります。
2019年にユニクロがベトナム初進出をした際は、OPEN数ヶ月前から至る所で車両広告を見かけました。
全方位的なターゲティングを行うのであれば、予算をかけて大規模に接点を増やすのも良いと思います。
ベトナムで交通広告の相談ができる広告代理店を紹介しておきます。
イベント開催
リアルの場でしっかりとプロモーションを行いたいなら、イベント開催もアリだと思います。イベント開催は来場客によりSNSの発信や、報道関係者の取材などによりオンラインでの拡散まで波及が期待できるため、やりようによっては効果を発揮すると思います。
ベトナムでイベント開催の相談ができる企業を紹介しておきます。
製品やサービスに興味を持ってもらいたい場合
2つめは、自社の製品やサービスに興味を持ってもらうマーケティング手法を紹介します。
Webサイトのコンテンツを充実させる
マーケティングを正しく行う上で、サービスのメリットや、強みを体型的にターゲットに伝えるのであればWebサイトをしっかり作り込むことは重要です。
これまで僕は在ベトナム日系企業向けのWebサイトをたくさんプロデュースきましたが、「とりあえずWebサイトがあればよい」と作ることだけを目的とした相談をいくつも受けてきました。
Webサイトは、潜在顧客に対して企業のサービスや製品をよく理解してもらい、興味を持ってもらうことが必要なので、しっかりと「誰に」「何を」伝え「どうしてもらいたいのか」を事前によく考えてWebサイトを作ることが必要です。
これを意識せずにWebサイトを作ろうとすると、価格を抑えることばかりに意識が集中してしまい、結果的に、なんの成果も産まないただ存在するだけのWebサイトになってしまうケースが多いです。
ベトナムで本格的にマーケティングを行うのであれば、Webサイトの内容に一番注力すべきだと考えています。
営業資料を作り込む
BtoBビジネスの場合は、Webサイトでリード顧客を増やした後で、営業担当者がクライアントと直接面談をしてクロージングを図る流れが一般的です。
そこで手持ちの営業資料をしっかり作り込み、Webサイトには掲載していないより深い情報を営業資料の掲載しましょう。
より深い情報とは、競合他社との比較を行う際にあなたの会社を選ぶ決め手となる情報です。
例えば、
- 製品スペックの他社との比較表
- 価格の他社との比較表
- サポート体制の比較表
- これまでの実績集
などが挙げられます。
よりリード顧客が求める要素をあなたのサービスで満たせることを資料の中で表現することがポイントです。
クリエイティブにもこだわる
デザインはコンテンツの次に重要
正直言うと僕は以前デザイン会社で働いていましたが、Webサイトや営業資料で最も重要なのは、訴求する内容だと考えています。
ただその一方で、デザインも同じくらい重要だと思っています。
なぜなら、どんなにいい内容が書かれていても、文章が読みづらかったり、読み手がそのサービスメリットをイメージしづらかったりすると、期待するほどの理解も共感も得られないからです。
また、潜在顧客がアウトソース先を探すときに最初に行う情報収集は大抵Webサイトを見ることから始まるので、あなたの会社のWebサイトがあまりに古臭い、ダサい、見づらいと真っ先に検討先の候補から外されてしまうでしょう。
そして競合他社のWebサイトのデザインがしっかり整っていたとしたら、優先的に競合会社の方に問い合わせが行くと思います。
実際に僕が外注先の企業を探すときはこのようなプロセスを踏んでアウトソース先の選定を行っていました。
また、営業資料も同様です。
営業先で渡した資料も、よっぽど製品やサービスが魅力的で、優位性がなければ、デザインがダサいものや、見づらいものは、営業担当者が帰った後ですぐ他の資料の山の中に埋もれて二度と見返されることはないと思います。
デザインはブランディングにも影響するので、企業の理念やカラーがしっかりと表現されていて、かつ統一的である必要があります。
本気でマーケットシェアを取りに行くのであればデザインにもしっかり力を入れるべきだと思います。
情報設計をしっかり行う
一生懸命ターゲットに刺さる文章を考えても、理路整然とまとまっていなければ読み手は理解も共感もしてくれません。
情報の要素をカテゴリ分けして、どういう順番で何を伝えるかの構成をしっかり設計する必要があります。
よくある失敗例としては、製品の機能や実績、強みなどの情報がダラダラと同じ文章の中に混在していて結局何を伝えたいのかわからない状態になっていることです。
これまで見てきた相談者のWebサイトや営業資料でも、この状態になっている例がたくさんありました。
あるべき情報設計を製品紹介で例えるなら、1つ1つの製品紹介ページで
- 概要
- 強み
- 機能
- 導入事例
など情報要素をカテゴリ分けして伝えるようにするのが良いでしょう。
クリエイティブ制作に強い、ベトナムでおすすめのデザイン会社を紹介しておきます。
●MOJA
ベトナムには全体のマーケティング戦略立案から制作・開発までワンストップで行っている企業もあります。
注意点
ここまで、ベトナム市場向けのマーケティングで有効な手法を
- 認知をあげる
- 興味を持ってもらう
- クリエイティブ
の3つの目的別にお伝えしてきましたが、これだけで満足してしまうと、うまくいかないこともあるので2つの注意が必要です。
最終ゴールをしっかり決める
前述でも少し触れていますが、マーケティング施策を始める前に、現状課題を整理し、「どこの・誰に・何をしてもらいたいのか」をしっかりと定義することが大切です。
現状整理と目的設定があいまいだと、全く関係のない人ばかりにアプローチしてしまったり、伝えるべきメッセージが筋違いになってしまいかねないからです。
現状を上手に整理する方法については、過去記事「聞き手の心を動かすプレゼンはたった3ステップで作れる」の<STEP1>でも触れているので参考にしてみてください。
効果検証を怠らない
ベトナムではこれらのマーケティング手法を実践しても、その効果を「なんとなく」判定しているケースも多くあります。
可能な範囲で構わないのでできるだけ、マーケティングに裂いた時間や費用がどれくらい集客に寄与しているのかを定期的に追う必要があります。
そうしないと費やした、時間や費用が無駄になっているのか、あるいはかけたコスト以上に儲けが増えているのかがわからないためです。
例えば
・BtoBビジネスでWeb広告を配信して、リード顧客を獲得した場合は、そのリード顧客がどれくらい制約して、新たな売り上げを生み出したのか検証すべきです。
・リアル店舗でSNSマーケティングを実践しているのであれば、マーケティングの実施している期間と、していない期間の来店客数が何%違うのかを検証すべきです。
検証した上で、ボトルネックになっている問題点を洗い出し1つ1つ改善していくのがマーケティングの本質です。
上記に挙げたマーケティング手法はその名の通り「手段」でしかないので、目的を達成しているのかをしっかり検証していないのであれば時間もお金も無駄に浪費してしまいかねないので注意が必要です。
まとめ
今回は、ベトナム市場で日系企業が打ち勝つための効果的な自社マーケティング手法と、マーケティングを行う上で注意すべき点について書きましたがいかがだったでしょうか?
僕は、今後ますます成長を遂げるベトナムの市場でFrom Japanの製品やサービスが、より広がっていくことを期待しています。
そしてこの記事が、ベトナムに住む日本人の方々のマーケティングリテラシの底上げに少しでも寄与することを願っています。